株式会社CDIソリューションズはブランドを刷新し、
7月3日より「アクティベーションストラテジー株式会社」へ
社名変更しました。新サイトはこちら。

Knowledge and Columns

ナレッジ・コラム

BPRソリューション

ITソリューション

2018/12/27

業務・システム改革プロジェクトの進め方 第4回:フェーズⅢ【改革の実行/定着化のポイント】

3回は、業務・システム改革プロジェクトの進め方のフェーズⅡである「改革の構想具体化と実行計画策定」のポイントについてご紹介しました。今回はフェーズⅢとして、業務・システム改革プロジェクトの成果を出す「改革の実行/定着化」のポイントについてお話しします。




このフェーズⅢは、新たな業務・システムを活用して当初想定した改革効果をどれだけ実現出来るかが問われるフェーズで、正に業務・システム改革プロジェクトの集大成と言えるでしょう。改革の実行とは、従来の考え方やこれまで上手く作用して慣れ親しんできた仕事のやり方を否定し、あえて新しいやり方を試みることです。ところが、改革プロジェクトは、今は環境に合わなくなったとは言え、これまでの事業運営における成功体験が大きければ大きいほど成功しにくい一面も持っています。しかも、これまでの取り組みを十分に理解している経営陣やプロジェクトメンバーだけでなく、現場の社員一人一人にプロジェクトの決定事項を浸透させることが出来なければ、改革の実現は困難となり、プロジェクトは不完全に終了してしまいます。

  • 改革とは「習慣」との戦い
  • 改革とは「過去の栄光」との訣別改革の実行には、今一度プロジェクトの本質を再確認し、気を引き締めて臨むことが肝要です。

改革の実行には、今一度プロジェクトの本質を再確認し、気を引き締めて臨むことが肝要です。



その上、新たな試みが最初から完璧に上手くいくことは稀で、多少の不都合が起こることは十分想定されます。改革の実行/定着化フェーズで陥りやすい罠は、導入直後の細かなマイナートラブルに萎縮してしまい、また昔のやり方に戻ってしまうことです。

  • 「やはり、つくれない」
  • 「やはり、売れない」
  • 「なにも無理することはない」
  • このような現場の弱音に対しては、経営陣をはじめプロジェクトメンバーが、原点に立ち戻ってプロジェクト推進の目的を明確にし、強い意志を持って根気強く対処することが必要となります。


さらに、改革効果の最大化には、成果を主体的にマネージメントすることも重要です。具体的には、改革プランを現場に展開して不都合が生じた場合、必要に応じてプランの微修正を行います。もちろん改革の原理原則を曲げることはありませんが、これまで実施してきたプロジェクトの「現在地」を確認し、計画立案時に設定したKPIの再定義および実現目標達成への諸施策を再立案することもあるでしょう。最終ゴールである業務・システム改革目標に向けて、今何が足りていて何が不足しているのかを冷静に判断し、あるべき姿に到達する最も「現実的な近道」を自己評価により設定し、軌道修正することが望まれるのです。


このように、改革の実行/定着化フェーズは、単なる理想論の「絵に描いた餅」ではなく、地に足のついた施策である「食べられる餅」を模索し、PDCAを繰り返しながら一歩ずつ確実にあるべき姿を目指すことが重要で、その推進には強い意志と根気強さ、正に完遂力が求められるのです。



最後に、プロジェクトを成功させるための要諦を2つお話ししましょう。1つは、プロジェクトメンバーの人選です。業務・システム改革のプロジェクトメンバーには、各部門での業務に高く精通する者が選定されるケースがしばしば見受けられますが、このような基準で選出されたメンバーは、特定業務のスペシャリストであるが故に、周辺部門・業務との整合性に対する意識が希薄であったり、自身の業務遂行レベルを基準に捉えたりして、他部門の誰も理解できないような極端に高度な業務を設計することがあります。特に、原価計算や需給調整などのある程度専門性が必要とされる業務のメンバーにありがちな傾向で、注意が必要です。ユーザー部門であれば、ただ単に現場の業務に詳しいのみならず、問題意識が高い/発言できる/現場を巻き込める/部門の利益代表にならない、といった資質を持ち合わせるメンバーの選出が必須でしょう。

2つ目は、プロジェクト展開に関する社内への積極的な広報活動です。プロジェクトの存在は周知させていても、プロジェクトのメンバーは業務に忙殺され、その活動内容を現場に知らしめる広報活動はなかなか行われません。現場の社員たちが、新しい業務やシステムがどのように変わるのか(=自分の仕事がどのように変わるのか)を知りたいという欲求を持つのは至極当然のことであり、プロジェクトが業務を抜本的に見直すような性格のものであれば、その欲求は更に大きくなります。この欲求に応える活動を事前に行わなければ現場の不安や反発を増長し、最悪の場合は「プロジェクトチームから押し付けられた業務・システム」として現場から拒絶され、全く活用されないといった事態を引き起こす危険性が高くなります。それを回避するために、プロジェクトメンバーによる現場への説明会や社内報等で、全社員への定期的な情報開示が重要なのです。



全4回にわたり、業務・システム改革プロジェクトの進め方についてお話ししました。今後、BPRソリューションに関するテーマにおいては、個別具体的な業務領域における改革事例をご紹介します。


CDIソリューションズ 代表取締役CEO
マネージングディレクター
小川 克己 (おがわ かつみ)

関連情報