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2018/10/15

業務・システム改革プロジェクトの進め方 第2回:フェーズⅠ【改革の基本構想策定のポイント】

1回は、業務・システム改革プロジェクトの進め方の全体像についてお話ししました。今回はフェーズⅠの改革基本構想策定のポイントについてご紹介します。




前述したように、業務・システム改革プロジェクト全体の成果を決定付けるのは「改革の基本構想策定」フェーズのアウトプットの質です。その中でも、「なぜ改革を実施する必要があるのか?」「何を目指して改革を実行しようとしているのか?」「どのコストをどのように削減するのか?」を突き詰めて考える作業が最も重要です。「改革の基本構想策定」フェーズでは、戦略を正しく認識し、業務・システム改革目標を前提とした業務プロセス、情報システム、組織・人事などの課題を抽出できるかが、プロジェクトの成否を決定付けると我々は考えています。

その「改革の基本構想策定」フェーズを推進していく中で、最初に行うのが事実認識です。会社のおかれた状況を正しく認識し、問題を抽出してその本質を捉えるには、以下の3つの手順に沿ってアプローチしていきます。

  1. 社内業務に関して、「現れている問題(意識)」を可能なかぎり網羅的に集める。
  2. 挙げられた問題の論理的構造を整理する。
  3. 「要=問題の本丸」を見つける

1つ目は、内包している問題あるいは問題意識を、できるだけ網羅的に集めることが必要不可欠である、ということです。なぜならば、非対称である立体を上・下、左・右の違った方向から見ると形が異なって見えるのと同じで、「現業担当者の視点から見える事象は、その担当者が所属する部門によって見え方が全く異なる」からです。これは、部門間のみならず、経営幹部と現場・現業担当者の間にも同様のことが言えます。ですから、情報収集の際には提供者の所属部門や役職に偏りが出ないよう、情報を網羅的に集めることが重要なのです。そして、それを実施する上では、情報提供者の声の大きさに惑わされることなくその事象の本質を捉える視点が求められます。


2つ目は、集めた問題の整理の仕方にあります。ヒアリングやアンケートなどで収集された問題点は、多くの社員の皆様から集められたものです。ところが、問題を捉える感度というのは人によって異なるため、「表層的な事象」を問題と捉えたり、「真因に近い事象」を問題と捉えたりされた、様々なレベルの情報が混在しています。これらを整理するためには、問題の論理構造を解明する必要があります。CDIソリューションズが良く活用するのは、ツリー構造と円環構造(=バッドサイクル)で、前者を使って「どの問題が原因で、どの問題が結果か?」を判断し、後者を使って「どの問題と、どの問題の関連が深いのか?」を明らかにしていきます。



3つ目は、問題の本丸の見抜き方です。本丸を見抜くには、当然ながら豊富な経験や、他社の成功事例の引き出しをどれだけ多く持っているかが重要ではありますが、上記のように問題をキチンと構造的に整理すると、本丸はある程度浮かび上がってきます。例えばツリー構造では、多くの分岐が発生しているような事象や、多頻度で発生したり、多くの工数を費やしたりしているような「太い枝」 でつながっている一連の事象などが、問題の本丸であることが多いのです。一方、円環構造であれば、正しい位置に各問題を配置することによって、「バッドサイクル」全体を駆動していると思われる問題の本丸を導き出すことが可能です。

これらの3つの手順に沿って進めれば、問題を正しく把握して課題を導き出すことができます。しかし、どの手順においても、状況を正しく認識し、問題を抽出してその本質を捉えるためには、極めて高い洞察力が必要なのは言うまでもありません。

次に、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の設定についてご説明しましょう。業務・システム改革において、KPIはプロジェクト全体を通じて活用されます。「改革の基本構想策定」フェーズでまず第1版を作成し、それを前提として「改革構想の具体化と実行計画策定」フェーズでのシステム化要求の優先順位を設定し、システム仕様の足切りや簡素化を図ります。更に「改革の実行/定着化」フェーズでは改革目標として活用します。このようにKPIは業務・システム改革プロジェクトの全フェーズで重要な役割を占め、また「改革の実行/定着化」フェーズ以降の通常ビジネスにおいても、PDCAの起点としての活用が期待できます。

KPIの設定においては、業務量調査やユーザー部門へのヒアリングなどにより、具体的な根拠と定量的な数値目標の設定が必要となります。業務・システム改革の実現のためには、ユーザー部門のコミットメントも必要となるので、ユーザー部門を巻き込んだ取組は不可欠です。




本文中でも触れましたが、フェーズⅠの改革の基本構想策定が、業務・システム改革プロジェクトの鍵となります。ここで作成された基本構想をベースにして、フェーズⅡで改革構想の具体化と実行計画策定を行うことになります。次回は、フェーズⅡのポイントについてご紹介します。


CDIソリューションズ 代表取締役CEO
マネージングディレクター
小川 克己 (おがわ かつみ)

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